アナン
アナンとはお釈迦様の十大弟子の一人で、多聞第一といわれたお弟子です。
誰よりもお釈迦様のお言葉をよく聞き、修行に励みました。
今は亡き故人はあの手この手で私たちに多くのメッセージ。
気づきのきっかけを与えてくださっています。
そんな故人からのはたらきかけに一緒に耳を傾けてみましょう。
それが聖徳寺が毎月発行している「アナン」です。
天上天下
唯我独尊
4月8日は花祭り。お釈迦しゃか様さまの誕生日です。お釈迦様は今から2589年前。紀元前565年にインドのシャカ族の王子として、父シュッドーダナ王、母マーヤ妃のもとにお生まれになりました。名前はシッダールタと言いました。お釈迦様をご懐妊された際に、母マーヤ妃の右脇から6本の牙を持つ白象が入ったという逸話から、仏教では白象が大切なものとして祀られています。
お釈迦様は生まれてすぐに、7歩進み、右手を上に左手を下にそれぞれ指差し
天上天下 唯我独尊
と宣言されたといいます。
さて、この言葉。字面だけ見ると「天上世界、天下の世界の中で、ただ私一人が尊い」と読めてしまいますが、本当にそうでしょうか。そうではなく、「すべての世界に生きとし生ける、すべての命がそれぞれ尊い」と、すべての命の尊さを説かれた言葉です。
命は、私たち全ての人々に平等に与えられた唯一無二のものです。私たちに与えられる
能力や容姿は人それぞれ違います。また、命の長さも残念ながら人それぞれ違います。しかし、命の大切さ、尊さは皆平等です。それは一国の大臣であろうと、有名人であろうと私のような一庶民であろうと変わりません。
私たちはこの事実に気づき、命の本当の尊さに気づいていかなくてはいけません。
仏さまは私たちの命の平等をみて、私たち一人一人を放っておけない、かけがえのない存在として救い取ってくださいます。
今は亡き故人が、この世での命をかけてその尊さを伝えてくださいました。そして、今は仏様として私たちに寄り添い、共に歩みながら様々な気付きを与えてくださいます。
私たちもまた遠からず死を迎えなければならない身です。大変辛いことではありますが、大切な方々の死を通じ、なにをおいても故人が私たちに呼びかけてくださる人生の根源にかかわる言葉を聞き届けていきたいものです。