アナン
アナンとはお釈迦様の十大弟子の一人で、多聞第一といわれたお弟子です。
誰よりもお釈迦様のお言葉をよく聞き、修行に励みました。
今は亡き故人はあの手この手で私たちに多くのメッセージ。
気づきのきっかけを与えてくださっています。
そんな故人からのはたらきかけに一緒に耳を傾けてみましょう。
それが聖徳寺が毎月発行している「アナン」です。
をしえ子を さとすことばに おのれ先ず
さとさるる身の はづかしさかな
早いもので本年も残すところ一月となりました。十二月といえば、世相を表す漢字や流行語などが発表され、一年を振り返る機会が多くあります
。世の中を振り返り、自然災害や事件、事故に心痛む一方、スポーツ選手の活躍など心躍ることもありました。
また、自分自身を振り返ってみるとどうでしょう。思うような一年を過ごせた方、そうではない方と様々でしょう。
京都女子大学の創設者の一人である甲斐和里子さんの詠まれた歌に次のようなものがあります。
をしえ子を さとすことばに おのれ先ず
さとさるる身の はづかしさかな
これは、教育者として教え子を諭そうとする言葉には、まず自分自身が諭されることを詠んだものですが、ここには謙虚な心が表れています。
仏教では我が身をかえりみ、内省することを通して日々の生活を心豊かに穏やかに歩むことを教えます。
私たちは、なかなか自分自身の姿には気が付きません。自分自身の姿は人から指摘されるまで気が付かないものです。そして、人の欠点ばかりが目につき、人の悪口を言い、お互いを傷つけあっているのではないでしょうか。
そのような私に気づきのきっかけを与えてくださるのが、今は亡き故人、仏様です。故人をご縁として手を合わせることは、仏様の智慧によって自分自身の心を照らしていただくことです。世のありのままの姿を知り、煩悩だらけの自分自身の恥ずかしい姿を知る。それにより、お互い様、ありがとうと、豊かな心で正しい道を歩めます。
一年を振り返り、自分自身を振り返ると共に、改めて故人を思い偲びながら、心新たに新年を迎えたいものです。